dimecres, 7 de juliol del 2010

ルンバ講座9『ルンバの変遷その1-スペイン編』

さて、ルンバの王様ペレの商業的成功によって、スペイン全土にその名が知られたルンバ・カタラーナ。その後の歩みを追ってみましょう。

ペレはヒット曲をタイトルにする映画に主演するなど、クレイジーキャッツの植木等を思わせる国民的スターとなりますが、ルンバも時代の流れには逆らえません。世界中の人々を熱狂させていたロックがスペインにも上陸し、人々の心は次第にルンバから離れていきます。そんな中で、Amaya兄弟を中心に結成されたLos amayaロス・アマヤは、 そうした新しい要素を取り入れたルンバで、聴衆の心を掴みます。
 

こちらロス・アマヤの『Zapatero Remendónサパテロ・レメドン』。ペレのルンバに比べると楽器もアレンジもぐんとモダンになっていますが、パルマやベンティラドールといったルンバ・カタラーナの枠はしっかり守っていますよね。

フラメンコと総称されるヒターノの音楽は伝統を重んじる傾向があるので、かつては他のジャンルと混ぜ合わせることに抵抗があったようなのですが、ルンバ・カタラーナがポピュラーになったことによってそのハードルが低くなり、フラメンコが様々な音楽に取り入れられていきます。

アンダルシアでは、カタルーニャ生まれのKiko Venenoキコ・ベネノがフラメンコ出身のAmadorアマドール兄弟RaimundoライムンドとRafaelラファエル出会いVenenoベネノを結成。CamaronカマロンやPaco de Luciaパコ・デ・ルシアといったフラメンコ界の大御所と共演して注目を浴びます。その後ソロとなったキコは現在も現役で活動中で、フラメンコ・フォークとも呼べる独自のジャンルを確立しています。こちらの『Volando Voyボランド・ボイ』は、すでにクラシックとなった感のある彼の名曲。


一方、ルンバとロックの融合が大きく花開いたのは首都マドリッド。Caña Rotaカニャ・ロタというレーベルを中心に、バンド編成でルンバを演奏するグループが現れます。ルンバ・カタラーナの歌詞はユーモアに溢れた陽気なものが多いのですが、このただ「ルンバ」と呼ばれる新しいルンバはフラメンコを思わせるメランコリックな歌詞が大きな特徴です。Los  Chunguitosロス・チュンギートス、Los Chichosロス・チチョスという二大グループがヒット曲を連発して、新しいルンバブームが訪れました。こちらはロス・チュンギートスの『Ay Que Dolorアイ・ケ・ドロール』。


また、ちょうどこの頃スペインの社会は大きな転換期にありました。1974年フランコの死によって独裁政権の時代が幕を閉じ、Trancisión(民主化への移行期)と呼ばれる時代を迎えていたのです。こうした状況の中で、自由を謳歌し急速に変化する社会から取り残される人々もいました。その一つがQuinquiキンキと呼ばれる若者たちです。彼らはヒターノなど社会から疎外された層の出身で、新しい社会を生き抜いていくために、車の盗難や強盗、ドラッグの売買などに手を染めていったのです。大きな社会問題となったこのテーマを扱った映画が、70年代後半から80年代前半にかけて続々と製作され、スペインではキンキ映画という1ジャンルを形成するまでになります。

社会への苛立ちや疎外された孤独感を歌ったロス・チュンギートスやロス・チチョスなどの楽曲がこうした映画に使用され、ルンバがキンキのサウンド・トラックとしての位置を確立しました。こちらはロス・チチョスによる映画『El Vaquillaエル・バキリャ』の主題歌です。映像は実在したキンキToreteトレテの幼少時代を描いた同名の映画から